昨年から定期的に連載していたサイトが閉鎖された。とある男性向け週刊誌が母体ところで、アウトロー社会やダークサイト文化を中心にしていたが、記事そのものは骨太で読み応えがあった。それでも、広告主が満足するほどのページビューが上げられなかったそうだ。やれやれ、また失業だ。一方でDeNAが運営する医療情報サイト「Welq(ウェルク)」や、女性向けの「MERY」などが問題になっている。今日も例によって『羽鳥慎一モーニングショー』を音声だけ聴きながらお昼を作っていたら、ITジャーナリストの三上洋さんが出て解説しておられた。
この手のサイトは「クラウドワーカー」と呼ばれる大量のライターを1文字1円以下とかの超激安ギャラで数千人単位雇っていて、元記事の載っているURLを提示、コピペして(あからさまなパクリにならない程度に)リライトするよう指示する。その際、内容に間違いがあろうとなかろうと何でもいいから、とにかく記事が検索の上位に来るよう大量に書かせる。編集も校閲もあったもんじゃない。だから「Welq」は医療サイトにも関わらず、「肩こりの原因は幽霊に取り憑かれているからかもしれません」なんて記事が平然とアップされることになる。ヒドイ話はヒドイ話なんだけど、お金も仕事もないフリーライターとしては決して他人ごとではない。これは、構造的にブラック企業やブラックバイトと同じだ。
よく「そんな会社(バイト)辞めればいいじゃん」という人がいるけれど、親に経済力がなくて奨学金で膨大な借金を抱えてる大学生が、いったん決まった就職先や今月のアパート代や明日の食費のかかったバイトを、「じゃあ、辞めます」と言えるだろうか。要するにシステムを作っている人たちだけが膨大な利益を独占して、そこに関われない者たちは、人間性を無視され奴隷のように働くしかない。これは「トランプ現象」を生んだアメリカとまったく同じ構図だ。地道にコツコツ働く人や、時間と手間がかかっても、ただひたすらいいものを作りたいという職人的な生き方が報われない世の中なのだ。
※写真は数日前の夕暮れ。Data:iPhone6 #Instagram #MOLDIV #VIVID