(またまた昨日の続き)元々郊外に引っ越そうと思ったのは、やはりジョギングが出来る環境に住みたかったからである。1989年、ハワイのワイキキに約2ヶ月滞在し、カピオラニパークやアラモアナパークという美しい公園で走ることにハマッた僕は、都内でも同じような公園を探し、当時所有していたヤマハSRX250ccを走らせた。そしてもうひとつは、それまで渋谷区神宮前3丁目、いわゆるキラー通り沿いにアパートを借りていて、その界隈の騒がしさにほとほと疲れ果てた、ということもある。きっと今は少し違うだろう。時代はバブル全盛であった。以来25年この武蔵野の地、中央線沿線に暮らしている。で、よく判らないのが、時々「何ンでそんな遠くに住んでいるんですか?」と訊かれることである。「不便でしょう、都内に引っ越して来なさいよ」と。エート、小平市も小金井市も一応都内なんですけどね(>_<)。
遠いというのは判る。新宿まで直線距離にして20キロは確かに遠い。しかし「不便」というのはどうか? 前のアパートの最寄り駅・東小金井からは、副都心・新宿駅まで中央線快速電車で21分だ。現在の最寄り駅、国分寺は特別快速が止まるので2駅遠いが20分である。これをたとえば新宿発の小田急線と比べみると、世田谷区内に位置する成城学園前まで16分。僕は、この4分から5分の差ってナニ? と思う。家を出る時、「エート、携帯どこだっけ」とか、「カギ、カギ」なんて探してるうちに5分くらいはアッという間に過ぎてしまうではないか。しかもこれは成城〜新宿間、あくまで急行に乗った時の時間である。各駅停車だと23分かかる。ひるがえってご存じのように、中央線は中野駅以西、快速電車か特別快速、もしくは通勤快速しか停まらない。つまり各駅停車というものが(便宜上は)存在しないのである。一方の成城学園、お昼の12時〜13時、その1時間に急行が停車するのはわずか4本。15分に1本しか来ない(←ココ重要。1本乗り遅れると各停に乗らなきゃならない!)。それに比べ国分寺の快速・特快は14本だ。つまりは4分に1本、確実に乗れる。さて、どちらが便利でどちらが不便でしょう。
えーと、別に成城学園前に恨みがあって言ってるのではありません。かの地には砧公園という実に美しいジョギング・コースがあり、一時期引越し先として真剣に検討したことがあるのですね。つまりこういうことではないでしょうか。人間というのはイメージに左右されやすい。特に、日常的に訪れない土地は遠く感じる。これは往きよりも帰り道の方が近く感じるのと同じ。いや、もっと言ってしまえば僕自身も含めて、ほとんどの人が「自分は便利なところに住んでいる」と思い込んでいる。要は住めば都。こんな話もある。かつて同じ雑誌で書いていたこともある作家の藤木TDC氏は、仕事場を新宿一丁目から北区の十条に移した途端、様々な人から「何ンでそんな遠いところに引っ越したの?」「不便でしょう!」と言われ続けたという。氏はそのたびに心の中で「遠くねーよ。池袋まで埼京線で6分だよッ」との呟きを繰り返したとか。合掌(>_<)。