また、アナログ時代の写真を一枚。先日アップした後にふと思った。それは、自分はもう二度とフィルムの写真というものを撮らないのではないだろうか、と。この間リンクしたように、今でもフジクロームは「かろうじて」だが発売されているし、僕も一応ニコンFM3というカメラとNIKKOR 85mm f/1.4、同じくNIKKOR 24mm f/2.0 というレンズは所有してはいるのだけれど、この先、じゃあフィルムを買って撮影し、それをラボに持っていって現像するかというと、そんな時間的金銭的余裕はないだろう。いや、正直に言えばその情熱が無いのかもしれない。時間はあまりにも前へ前へと進み過ぎている。というのはこの写真を撮った時の自分の気持ちというものが上手く思い出せない。あまりに遠くにあり過ぎて手を伸ばしても届かないというべきか。
おそらく仕事がある程度ヒマな日で、お天気が良くて、だから桜も綺麗だろうからと自転車に乗って出かけたのだろう。そして帰りにはスーパーに寄り買い物などしたかもしれない。部屋に帰り着くと、相棒ネコたちは「ごはん、ごはん」とニャーニャー鳴いただろう。あたりまえの話だけれど、写真に収められた時間は動かない。止まったままだ。生きている僕だけが、先へ先へと動き続ける。人生はまるで、ブレーキの壊れた車のようだ。
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4月19日にアップした写真と同じ日に撮影したとばかり思っていたが、地面に映った木々の影が少し濃いのが気になる。ひょっとするともう少し新緑の増えた、数日後といったところかもしれない。見えにくいけれど、画面左下に黒いイヌがいます。data:ニコンFA、ニッコール24mmf2.0、フィルム・フジクロームVelvia(ISO50)