昨日の続き、と言うかもうひとつ思い出したことを。新聞少年のOくんと親しくなったのは、彼が僕の着ていたジャクソン・ブラウンのTシャツをを目ざとく見つけて「ロック、好きなんスか?」と訊いてきたからなのだが、正確に書くと、最初に彼は「それ、何処で買ったんですか?」と言ったのだ。ジャクソン・ブラウンのTシャツとは、あの有名は
ファースト・アルバム「Saturate before using(使用前に水にしっかり濡らすこと)」と書いてあるアレである。そしてOくんが「何処で?」と言ったのには意味がある。それは僕が買ったものではなく、実は「作った」ものだったからだ。1986年の終わりに編集者を辞めた後、僕は自宅で雑誌のデザインの仕事を始めていた。当時はもちろんパソコンではなくアナログだから、そのためにはコピー機が必要で、キャノンから出たばかりのレーザーコピーをリースしていた。
今は当たり前だが、その頃は拡大してもぼやけず、写真も綺麗に写せるレーザーコピーというのは本当に画期的で、嬉しくて仕事以外にも色んなものをコピーして遊んでいた。そして、好きな絵柄をアイロンでTシャツに印刷出来るというキットを東急ハンズでみつけたので買い、ジャクソン・ブラウンのCDジャケットをコピーして作ったのだった。そう説明するとOくんは「ああ、そうだったんですか。だから僕の持ってるのとは少し違うんですね」と言い、今度は僕の方が「えっ、日本で売ってるの?」と驚いた。アメリカでジャクソン・ブラウンのファースト・アルバムをモチーフにしたTシャツが売られていたのは知っていたが、簡単には手に入らないだろうと思っていた。だからこそわざわざ自作したんである。
するとOくんは「新宿アルタにロックの輸入Tシャツを売ってる店があるんです。まあ、全部レプリカですけどね」とこともなげに答えた。僕はその手のアーティストTシャツに〈オフィシャル〉と〈レプリカ〉、つまり「本物」に対する「ぱちもん」があることも知らず、そういうTシャツ屋が東京にあることすら知らなかった。その後、教えてもらった新宿アルタのTシャツ屋には何度か行き、グレイトフル・デッドのTシャツを何枚か買った。自分で作ったのがヨレヨレになった頃、ジャクソン・ブラウンのも買った。一昨日リンクした田中一郎さんのPV
「ミッドナイト シャッフル(Midnight Shuffle)」の最後、監督である僕がチラリと写っているが(4分40秒辺り)、そこで着ているのがそのTシャツである。ちなみにジャクソン・ブラウンのTシャツは現在
オフィシャル・サイトで買える。また、「メンスのサイズS、在庫2枚」だけだが→
Amazon.co.jp にもあった。お好きな方は早い者勝ちというところでしょうか(^^;)