お知らせです。『季刊レポ(vol.14 2013 Winter)』でも対談させてもらっている、作家・本橋信宏さんの新刊
『東京最後の異界 鶯谷』(宝島社)が発売になっています。山手線の内回りに乗ると、上野からひとつ目の駅が鶯谷です。俳人・正岡子規が最期の時を過ごした土地であり、江戸川乱歩「エログロナンセンスの怪作」と呼ばれる中篇小説、『淫獣』の舞台でもあります。しかし現在、駅の北側には無数のラブホテルが乱立し、デリバリーヘルス(女性をホテルに派遣する性風俗)のメッカとなっています。同時に駅を挟んだ反対側は寛永寺の広大な墓地があり、本橋さんは此処を「エロスとタナトス」が交差する街として見据え、そこから物語が展開していきます。明治・大正・昭和の文人、歌人、画家に関する豊富な知識を入口に、デリバリーヘルスに通う男たち、そこで働く人妻たち、韓国人留学生、伝説の風俗ライターと、怪しくも生々しい人間たちへ迫っていく快作ノンフィクションです。
そして実は表紙のカバー写真を、東良美季が撮らせて頂いております。本橋さんからは以前よりこの『毎日jogjob日誌』にアップしている写真を「いいね」と評価してもらっていて、今回「写真家・東良美季のデビュー作にしてよ!」と、著者自ら依頼してくださったのでした。そんな「トーラに撮らせたら面白いんじゃないか?」という本橋さんの言わば「作家の勘」に始まり、ブックデザイナー・妹尾善史さんによる素晴らしい装幀、そして本書の重要な登場人物でもある宝島社の名物編集者・藪下秀樹さんが、妹尾さんの意向を僕に的確に伝えてくださったこともあり、素人写真がこのように立派な本の表紙を飾ることが出来ました。カバー見返しにある「カバー写真:東良美季」という文字を何度も眺め、ニコニコしている毎日であります(笑)。内容については明日、改めて書評(のようなもの)を書く予定です。本屋さんで見かけた際は、ぜひ手に取って、お買い求め頂けたら幸いです。
追記・先日収録されたUstream番組
『レポTV 北尾トロアワー with えのきどいちろう』でも、トーラミキがこの本のご紹介をしております。46:30くらいから出てます。
※撮影は
11月19日、
11月20日と鶯谷を歩き、表紙の写真は20日に「スパイシー黒カレー」を食べた後、寛永寺の墓地から鶯谷の駅越しにラブホテル街を狙いました。ここから見えるスカイツリーは何故かバベルの塔のように不気味で、「まさに異界だな」と感じながらシャッターを切りました。data:ニコンD70、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G。ISO・200。