7時起床。今日も陽の射さない、白い冬の朝である。お風呂に入って眼を覚まし、iMacへと向かう。テープ起こしは昨日の夕方終えたので、あとはひたすら原稿を書くだけである。しばらく集中していると、ピンポンとドアホンが鳴る。「宅急便です」との声。はて何だろう、Amazon.co.jp などでは何も注文していないはずだが、と思いつつ出て「ああ、そうか!」と思い出す。一昨日、丹波篠山の夏兄弟・とっちゃんが「新米、送りまっせ」とFacebook経由で連絡をくれていたのだ。彼は渋いR&Bを唄わせると絶品のシンガーだが、本業は
「丹波のお米屋・小多田屋」の主人である。時計を見ると午前9時。これはグッド・タイミング。僕は朝はあまりお腹が空かない方なので、正午頃に本日初の食事となる。お米を洗い、ザルにあけ、水に浸すなどしているとちょうどその時間になる。というわけで早速包みを開け、カップ2杯をボウルに移す。
「ああ、きれいだ」とまず思う。お米がキラキラと輝いている。僕は普段発芽玄米と麦に十六穀米を混ぜて炊くこともあり、新米のその白さは驚くほどだ。水を張ってお米を一気に入れ、まずは一度軽く洗い、新米なので力を入れず廻すように優しく研ぐ。そしてザルにあけて水を切る。その間再び原稿に向かう。11時、ザルから土鍋に移して水に浸す。新米だから水量は少なめ、冬なので浸す時間は長めに45分とした。三度iMacに向かっているうち12時前となる。火にかける。まずは強火で5分。沸騰したら弱火にして10分。そして20分じっくりと蒸らす。フタを取ると、おー、つやつやだ。お米が立っている。ひと粒ひと粒がしっかりと形を保ちながらも、しゃもじでひっくり返すとねばりが強い。コイツをまずはおかず無しで口に入れてみます。
甘い。実にほのかな甘み、口に広がる香り。そして後から追いかけて来る、旨味としか表現しようのない味。ちょうど実家の兄貴が仕事で福岡へ行ったとかで、もらった明太子が冷蔵庫の中にあった。次はコレを乗せて口に運びます。うむむ、不思議だ。おかずを乗せるとまずはその味がぐっと前に出て、噛んでいくにつれてお米の味が強くなる。しかも甘みが先ほどより数段引き立つ。そうそう、美味しい白米とはこうだった。おかずの味を引き出しつつ、ひっそりと自らの味を主張する。しかも副菜によってその味を微妙に変えてみせる。明日からはおかず選びが楽しみだなあ。焼き魚、海苔、胡麻、お新香。そしてみそ汁も。とっちゃん、ありがとう。添えられたメッセージにはこうあった。「3年前からコラボしている百姓さんのお米です。丹波篠山で一番おいしいお米がとれる地区の谷あいで作ってもらってます」と。そうか、これはあの篠山に吹く風、暑い夏をくぐり抜けた、水と大地の味なのだ。
※写真は久しぶりに仕事部屋の窓からの風景。やはり空が白くなった。data:ニコンD70、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G。ISO・200。