今年は暖かい、と思うのは僕だけでしょうか。毎年「12月に入るまで暖房は入れないぞ」と頑張るのだが、結局11月の下旬にはオイルヒーターを出してしまう。しかし今年はなんとか頑張った。夜になって冷えてきたのでいよいよヒーター解禁。押入からゴロゴロと出してきた。10時過ぎまで仕事をして、今日は『ごちそうさん』がないので、金曜日に放映された
『長谷川町子物語〜サザエさんが生まれた日〜』を観る。32才にして14才のセーラー服姿が何の違和感もないオノマチちゃん(尾野真千子)もすごいが、始まって20分、三浦友和演じる田川水泡が登場するに至り圧倒的に面白くなる。なにせ全編142分の長尺なので、本日は半分にも満たない1時間ほどで再生をやめて寝てしまったのだが、これで今週の夜の愉しみがもうひとつ増えました。
それにしても劇中、田川水泡先生が語る「面白いことを描くんじゃないんです。普通のことを描くんです」とは至言だと思う。漫画家に限らず表現者とはついつい変わったこと、刺激的な題材を探してしまう。しかしあたりまえの日常をいかに興味深く描けるかが、本当の腕のみせどころなのではあるまいか。何故なら悲惨な戦争も凄惨な犯罪も、実は平和な日常の中に息をひそめているものなのだから。『長谷川町子物語〜』の中でも、毬子お姉ちゃん(長谷川京子)が愛したチュートリアル徳井くん演じる新聞記者は出征して戦死してしまう。つまりあのごく平凡で日常的な『サザエさん』という漫画も、戦争という悲劇をくぐり抜けた上に成り立っているんである。