朝から雨。しとしとと降るその音を聴きながら原稿を書く。秋が来たんだなあ、と思う。夕方より外出し、下北沢で打合せ。その後、渋谷道玄坂にて毎月恒例の
〈豊田会〉へ。少し遅れて顔を出す。例によってまったく世の中の役に立たないことを、お酒を飲みつつ語り合うという無意味な集いだが、いつも通り盛り上がる(笑)。で、12時を過ぎて散会。渋谷ではなく、ひとつ手前の神泉駅の方が近いので、そこから井の頭線に乗る。何も考えず本を読みながら吊革に掴まっていると、吉祥寺から5つ手前の富士見ヶ丘駅で止まってしまう。「えっ、何ンで?」と思っていると「本日の運行はすべて終了しました」というアナウンス。そう、電車が終わってしまったのだ。
駅前にはタクシー乗り場も無く、途方に暮れて歩き出す。こういうのは久しぶりだ。それでも、涼しくなった秋の夜、ホロ酔いで歩くのは楽しい。最近は便利なもので、携帯で現在位置を調べ、地図も見られる。この近辺はいわゆる杉並の閑静な住宅街。ぶらぶらと1時間ほど散歩して吉祥寺まで出た。そこからタクシーを拾い自宅まで約15分ほど。話し好きの運転手さんとは、例によって「バブル期」の、あの頃の話になる。例えば銀座でクラブのお姉さんとその客を乗せ、まずは女性のマンションのある川崎市郊外まで東名を使って行く。そこからまた、男性客の住む埼玉の自宅まで戻る、支払いはすべて会社持ちのタクシー券、云々。
運転手さんは言う。「確かに笑いが止まらないくらい儲かりましたけどね。お客さん、アタシはあの頃、何かが間違ってるんじゃないかと不安でしたよ」。今日この時間での僕の支払いは2千円程度。「申し訳ないけど、当時の私なら心の中で舌打ちしてました。すみません」と。でも、今夜はお互い「ありがとう」「おやすみなさい」と車を降り別れることが出来る。不況? 悪くない。全然OKじゃん、と僕は思う。民主党の代表選は、小沢さんが負け菅さんの続投が決まった。円高は止まる気配が無い。まあ、それぞれ自分の立場で頑張ってくれ。問題は我々自身が、どのような生き方を選択するべきか、だ。