6時起床。早朝より仕事。午後より外出。一昨日、実家の母から突然電話があり、観たい映画があるので付き合ってほしいというのでお供であります。
ラピュタ阿佐ヶ谷で上映中の特集〈孤高の名優・佐藤慶〉。本日3時40分より上映されたのは、大島渚監督1966年の作、
『白昼の通り魔』。ウチの親父と佐藤慶さんは大島組の常連役者であり、生涯の親友であった。本作はメインタイトルの後、まず「川口小枝(新人)・小山明子」とクレジットが出て、次に「佐藤慶・戸浦六宏」となる。言わば盟友同士がっぶり四つに組んだ作品である。オフクロとしても、貧乏な中でも親父が映画に燃えていた若き日の作品であり、思い入れが深いようだ。
60年代の大島作品は、その思想性ばかりが取り沙汰される傾向にあるが、実は光と影、その技術的な高度さ独創性にこそ見るべきところがある──と僕は思っている。本作『白昼の通り魔』も、高田昭撮影による凛々しくも端正なモノクロ映像と、それに相反する変態的とも言える異様に細かいカット割りに、アタマがクラクラする99分であった。僕が高校生大学生だった70年代後半、大島作品は名画座にあまりかからず、これも80年代後半になって、VHSのレンタルビデオで観た。その点ラピュタ阿佐ヶ谷は50席のミニシアターながらスクリーンが大きく、サウンドも良好。今回はプリントも悪くなかった。実に刺激的な映像体験が出来たワケです。
さて、この映画が作られた1966年と言えば、我が親父は36才。現在の自分よりひと廻り以上若い父親の姿を眼にするのは、やはり不思議な体験である。まるでタイムマシンに乗り合わせてしまったようだ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にはマーティ少年(マイケル・J・フォックス)が過去に戻り、リー・トンプソン演じる若き日の母親に出会って、「だって、き、君は、痩せてる!」と叫ぶシーンがあるが、あんな感じ(笑)。親父はスッゲー痩せてる、ハゲてない。30代だから当然だが、白髪の1本もない。しかも息子の僕とは似ても似つかない男前である。いやはや。
一方母親の方にも、本日約1年半振りに会った(←何という親不孝!)。以前はひと廻り小さくなってしまい、さすがに心配もしたのだが、今日はびっくりするほど若々しく上品にめかし込んでいて、綺麗なオバアチャンになっていた。彼女にとって若い頃の親父の映画を観に行くというのは、少しデートのような気分なのかもしれない。まあ、元気で何より。