体調が戻らず、寝てばかりいる。と言うか、ソファーに横になると、いつの間にか眠りに落ちている。体力が消耗し尽くしているようだ。相変わらず夢ばかり見る。ずっと長い間会っていない人が出て来る。オッチというあだ名の友達。小学校から高校まで一緒だった。同じサッカー部で、家が近くだったから一緒に帰った。僕らは部室でユニフォームから制服に着替える。ウチの高校は学ランではなくブレザーだったので、夏はコットンパンツにボタンダウン、足元はスリップオンというスタイルになる。オッチはいつも、洗濯したてでビシッとアイロンをあてた、ボタンダウン・シャツを着ていた。そんなことはいつの間にかすっかり忘れていたのだが、夢の中では忠実に再現される。色が白く髪の毛が茶色で、何処となく日本人離れして見える彼には、そんなアイヴィー・スタイルが良く似合っていた。
「さあ、帰ろうか」ということになった時、僕は先輩か先生に何か手伝うように言われ、2階(本当は高校の部室に2階なんて無かったに)へ上がる。書類を順番に揃えるというような仕事なのだが、夢の中に限ってそういう作業は進まない。何度やっても間違えて、また最初からやり直しというのを繰り返す。僕は「オッチを待たせるな、悪いな」と思い焦りに焦る。オッチは心優しい男だったので、待たせても文句など言わない。ずっと静かに待ち続ける。そう思うと余計に慌てて作業を間違えた。その時僕の制服、胸ポケットの携帯が鳴る。「トーラ、どうした? 大丈夫かい」と彼は言う。そうか、今なら携帯があるから何でも伝えられるんだよな──そう思った時に眼が覚めた。オッチとはもう30年以上会っていない。
※写真は近所の都立高校。夏休みの校庭をフェンス越しに写す。サッカー部の練習中。data:ニコンD70、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G。ISOは200。