正午、JR市ヶ谷駅で女友達と待ち合わせ、地下鉄有楽町線で月島へ向かう。昨年のちょうど今頃、彼女から突然電話があり、月島にある住吉神社のおみくじ付きダルマがとても良く当たり、御利益もあると聞いたので付き合って欲しいと言われた。東京には不案内な人なのでお供することにした。とは言え僕も、築地より先の埋め立て地、ウォーターフロントと呼ばれる土地に足を踏み入れるのは初めてだったのだが。
住吉神社は、正確には中央区佃一丁目にある。東京メトロ有楽町線月島駅から、佃大橋側へ少し戻り、シティフロントタワー等、大川端リバーシティと呼ばれる高層マンション群の足元にある。住吉神社の「祈願だるま」は赤、緑、黄、白ほか、計8種類。それぞれに「諸病平穏・身体健全」「勝運必勝・試験合格」「商売繁盛・金運招来」等、願い事が違う。背丈5センチにも満たない可愛いダルマさんである。ちなみにひとつ200円。
昨年「あなたもひとつ買って」と言われたので、青の「学力向上・諸芸上達」を求めた。「何ンでそれにしたの?」と笑われ、「一応俺の仕事にいちばん近いかなと思って──」と答えたのだが、実は嘘だった。その2ヶ月前に親友のKが亡くなり、8月に兵庫県の丹波篠山で追悼コンサートをやろうと仲間内で計画していた。それが上手くいきますようにと願をかけた。結果、夏のライヴはコラムニストの勝谷誠彦氏も駆けつけてくれて、大成功に終わった。なので今日は感謝を込めて両目の入ったその青いダルマさんをお返しにあがった。
住吉神社を出て、リバーシティを囲むように、隅田川沿いに続く河岸の公園を散歩した。陽射しが強く風も無く、昨日までの寒さが嘘のようにぽかぽかと暖かかった。「もうすぐ春ねえ」と女友達は言い、俺は丸一年生きたのだと実感した。
※写真は月島もんじゃストリート、裏路地にいたネコさん。長い間日向ぼっこしていたのだろう、撫でると背中が温かかった。data:ニコンD70、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6G。ISO・200。