眼が覚めると8時。寝ぼけたアタマで「えーと、今日は何をするんだっけ」と考えつつ、いつものようにストレッチをし、そうだ、もう冷蔵庫に食べるものが何も無いからとにかくまずはジムへ行って、帰りに買い物をして、と色々と算段していたのだが、その後お風呂に入りぬるめのお湯に浸かっていると、「いや、今日はともかく急ぎの仕事はないわけだから、少しは身体を休めた方が良いのではないか?」と思い始める。身体の方はともかく、こういう日に精神の方をリラックスさせないから、オレはいつだって日々をバタバタと過ごしてしまうのではないか? そして肝心な時に力を発揮できないのだ。そう、桂枝雀師匠も言っていたではないか、「大切なのは緊張と緩和」だと。まあ、あれは落語の話だけれど──。
というわけで風呂から上がり、この日記をアップした後はソファーに横になりワイドショーなど見るでもなく眺めつつ再びウトウトする。リラックス、リラックス。が、TV画面では結婚詐欺で逮捕された女の周りで、何人もの男が不審な死を遂げているという、かなり救いようのない事件をやっている。彼女の餌食になったらしいのが、40代の婚活中の独身男性と紹介される。僕は独り者のせいか、この「婚活」といのがどうも良く判らない。まずは好きな相手があって、その上で「この人と結婚したい」と思うのが順当な流れなのではないか。最初に結婚したいという動機ありきで、それから相手を探すというのは、何だかアベコベな気がする。まあ、そんなコト言ってるから結婚出来ないんだろうな、オレ──なんて考えているうちに眠ってしまった。
で、目覚めてみると傍らに美しい女性がいる。僕の妻である。「あなた、どうなさったの? ずいぶんうなされてらしたけど」と彼女。「うん、ひどい夢を見た。50才過ぎて結婚も出来ず、毎日ジョギングしたりジムへ行ったりして暮らしてるんだ」。僕がそう答えると、彼女は「あらあら、それは本当にひどい夢ねえ」と笑いつつ台所へ立つ。でもって、「ねえ、アナタ、ずいぶんと冷えてきたから一本つけましょうか」なんてえことになる。そいつぁイイねえと恋女房につけて貰った熱燗を、僕は徳利から注ぎ、口へ持っていくも、フト思い立ってやめる。「アラ、あなたどうなさったの?」「いや、よそう。また夢になるといけねぇ」──謹んで、圓楽師匠のご冥福をお祈りいたします。