7時起床。朝ご飯を食べてからジム。いつも通りマシンを始めると、思っていたより自分が疲れていることに気づく。考えてみればこの一週間はけっこうハードに働いた。なのでストレッチを念入りにすることからやり直し、マシンとダンベルは普段よりも一段ウエイトを落として軽めにした。1時半にジムを出て、その足で八王子いちょうホールへ、お芝居『赤毛のアン』を観に行く。友人の女優・越智絵理花さんが昨年9月阿佐ヶ谷でやった
“語り”の時に知り合ったプロデューサーの方が招待してくださった。
これは東京都主催の「ふれあいこどもまつり」の一環として上演されるもので、なのでいわゆる児童向けのお芝居ではあるのだが、僕は恥ずかしながらこの、L・M・モンゴメリによる、世界中の少女達のバイブルと呼ばれる長編小説を読んだことがなく──まあ、女の子が『ハックリベリィ・フィンの冒険』や『十五少年漂流記』を読まないように、男の子は『赤毛のアン』や『若草物語』は読まないものです──これは良い機会とばかりお言葉に甘えたわけです。
舞台は20世紀初頭のカナダ東部の田舎町。モンゴメリは新聞記事で読んだ男の子と間違えて女の子を引き取った夫婦の話に着想を得てこの作品を書いた(←Wikipediaより)と言われ、物語は孤児院で育った11才の少女アン・シャーリーが、マシュウとマリラという老兄妹に引き取られるところから始まる。なるほど、世界中の女の子のバイブルと言われるのが良く判る。此処に子供達が学ぶ人生のすべて──人は容姿や出身(赤毛で痩せっぽち、孤児)で誰かを差別したり自分を卑下してはいけない、友達は何よりも大切で家族は尊く、どんな理由があっても嘘をついてはいけない、そして努力すれば必ず報われる──がある。
車で来ていた越智さんが途中まで送ってくださると言ってくれたのだが、今日のように疲れている日は少し歩いた方が回復するので、八王子の街をのんびりと散歩して帰った。お芝居の中程、男の子を欲しかったマリラも次第にアンの明るさに惹かれ、二人は本当の親子のように家路を辿る、というシーンがあった。そしてアンは言う。「誰かと一緒に帰れる家があるって、なんて幸せなことかしら」と。そう言えば、自分はもう何十年も誰かと家に帰ったことがないなと思い出した。